モバイルルーターは文字通り携帯できるwifiルーターのことで、ポケットwifiともいいます。スマホがあれば大抵の事が事足りるという人には、本来必要のないものです。
では、どんな場合に必要になるのでしょうか?それは、自宅外でノートPCやタブレットなどをインターネットに繋ぐ必要がある場合です。
もっとも、スマホのテザリング機能を使えばモバイルルーターがなくても同じ事はできますが、多くの場面で専用のモバイルルーターでつなぐ方が「正解」だと言えます。ただ、モバイルルーターを選ぶ時には見極めないといけないことも多く、人によってお勧めできるものと、そうでないものがはっきりと分かれます。
この記事では、まずモバイルルーターに関する基本的な疑問にお答えし、次に契約を考える上で知るべき具体的な選択肢を解説。最後に、あなたの使い方に合わせた最適なサービスを提案する、という3つのステップで、あなたにとってベストな一台を見つけるお手伝いをします。
そもそもあなたにとってモバイルルーターって本当に必要か?
「モバイルルーター」という選択肢について、多くの方が抱くであろう基本的な疑問から解消していきましょう。「自分にとって本当に必要なのか?」を判断するためのフェーズです。
1.モバイルルーターを契約する意味
モバイルルーターの主な役割は、ノートパソコンやタブレットといった、それ自体ではインターネットに接続できない機器を、外出先でネットに繋げることです。
ホームルータータイプとどこが異なる?
モバイルルーターを探していると、据え置き型の「ホームルーター」も一緒に紹介されることがよくあります。どちらも工事不要でインターネット環境を構築できる点は同じですが、その目的は全く異なります。
モバイルルーター:
バッテリーを内蔵した小型軽量端末。最大のメリットは「持ち運べる」ことであり、通信事業者の電波が届く場所ならどこでも利用できます。
ホームルーター:
自宅のコンセントに挿して使う据え置き型。持ち出しはできず、契約時に登録した住所以外での利用は基本的に禁止されています。
その代わり、大型アンテナを搭載しているため、モバイルルーターより通信が安定し、速度も速い傾向にあります。
持ち出しなしで屋内専用となれば光などの固定回線が一番速度も安定性もありますが、短い期間での滞在先での利用ゆえ固定回線の引込工事までは出来ない場合や、建物の構造上光を引きもめないなどの事情がある場合にホームルーターは光回線などの固定回線の代用として使われるもので、モバイルルーターとはそもそも用途が違うものと言えます。
項目 | モバイルルーター | ホームルーター |
主な利用場所 | 屋外・屋内問わず | 原則、契約時に登録した場所のみ |
持ちだし | 可能 | 不可 |
通信の安定性 | ホームルーターに劣る | 高い(固定回線には劣る) |
通信速度 | 遅い傾向 | 速い傾向(固定回線には及ばない) |
2.スマホのテザリングじゃだめなのか?
外出先でPCをちょっとの間ネットに繋ぐだけなら、スマホのテザリング機能で十分ではないか、という疑問はもっともです。
結論から言うと、利用頻度によります。普段はスマホで十分で、たまにカフェで短時間メールを返す程度ならテザリングで問題ありません。
しかし、割と本格的に、外出先でWi-Fiを利用する方であれば、専用のモバイルルーターを契約する方が大きなメリットがあります。なぜなら、テザリングには明確なデメリットがあるからです。
スマホのテザリングの弱点
スマホのバッテリーを激しく消耗する:
長時間のテザリングはスマホのバッテリーを著しく消耗させ、本来の電話や連絡手段として使いたい時に電池切れ、という事態を招きかねません。
スマホのデータ容量を消費する:
テザリングはスマホのデータプランを直接利用します。PCでの通信はスマホ単体よりもデータ消費が大きくなりがちで、すぐに速度制限にかかってしまう可能性があります。
通信の安定性:
電波を受信する装置として比較しても、他の多くの機能を持つスマホと、通信に特化したモバイルルーターでは、後者の方が電波を安定して掴む傾向にあります。
3.家の中でもルーターとして利用するのは可能か?その場合のデメリットは?
自宅では固定回線を契約し、さらに外出用にモバイルルーターを契約するのは、いわば「ダブル課金」となりコスト面でかなりキツイ話です。
そこで、「自宅のインターネットもモバイルルーター1本にまとめられないか?」と考える方も多いでしょう。
結論として、ライトな使い方であればその選択は「最適解」になり得ます。
しかし、自宅でヘビーな使い方をする場合には、モバイルルーターは全く不向きだといえます。
モバイルルーターには以下のような弱点があるからです。
モバイルルーターの弱点
通信の安定性が低い:
モバイルルーターは無線電波を利用するため、光回線と比較すると速度や安定性が本質的に劣ります。高画質な動画のストリーミング再生や、コンマ数秒の遅延が致命的となるオンラインゲームをガチでやるというなら厳しいです。
複数人・複数台での利用に弱い:
家族が同時に動画を見たり、オンライン会議に参加したりすると、通信が著しく不安定になる可能性があります。
バッテリーの寿命が短くなる:
自宅で常に充電しながら使い続けると、バッテリーに大きな負荷がかかり、寿命が著しく短くなります。スマホの充電でもよく言われるのと同じアレですね。
モバイルルーターにはどのようなものがあるか?知っておくべき選択肢
モバイルルーターの必要性を理解したところで、次は「具体的に何を選べばいいのか」というステップに進みます。端末の性能から料金プランまで、契約を検討する上で知っておくべき重要なポイントを解説します。
1.最強のモバイルルーターはどれ?(端末のスペック)
純粋な機器の性能、つまりスペックで「最強」を求めるなら、最新の通信技術への対応が鍵となります。特に「5G SA」や「Wi-Fi 6」といった規格に対応しているかが、現在の高性能モデルを見極めるポイントです。
機種名 | 下り/上り最大速度 | バッテリー容量 | 特徴 | 主な取扱サービス |
Speed Wi-Fi DOCK 5G 01 | 3.5Gbps / 286Mbps | 5,400mAh | 5G SA対応、大容量バッテリー、有線接続可能なドック付属。速度・機能・価格のバランスが最も良い。 | WiMAX系 |
Wi-Fi STATION SH-54C | 4.9Gbps / 1.1Mbps | 4,000mAh | 超高速通信「ミリ波」に対応した現行最強スペック。ただし端末価格が約10万円と高価なのが最大のネック。 | ドコモ |
Rakuten WiFi Pocket Platinum | 150Mbps / 50Mbps | 2,440mAh | 速度は控えめだが、端末1円キャンペーンによるコストパフォーマンスが最強。プラチナバンド対応。 | 楽天モバイル |
価格を度外視してでも国内で速度、安定性などすべての面で最強のwifi回線を利用するならドコモのWi-Fi STATION SH-54C
真の5Gと言われるミリ派にも対応している。 Wi-Fi 6にも対応・USBテザリング・有線LAN接続 も可能で、最大17台まで同時接続できます。ビジネス用途にもぴったりです。
これが利用できるのは「ドコモ5Gギガホ プレミア」で無制限プランだと月額7,315円とちょっとお高いが電波も端末スペックも電波エリアも間違いなく国内No1でしょう。
コスト最優先でかなり割り切った選択をしているのが楽天モバイルRakuten WiFi Pocket Platinum
何よりも安さを優先するゆえに端末スペック的は一番低いです。何せ規格がWi-Fi 4。
Wi-Fi 4って2009年に標準化されたかなり古い世代のWi-Fi企画です。の後に数倍から数十倍早いWi-Fi 5、Wi-Fi 6、そして2024年にはWi-Fi 7が登場しています。
また2.4GHz帯のみ利用可で5GHz帯は非対応。さすがにこれは「決定的な弱点」と指摘されています。
2.4GHz帯は電子レンジなどの家電との干渉により通信が混雑し速度がさらに不安定になるという特徴があります。
総合的なバランスで「最強」と言える端末は「Speed Wi-Fi DOCK 5G 01」
結局性能面と価格面で一番バランスがとれていてしかも現実的なのは多くのWiMAX系で使用されている「Speed Wi-Fi DOCK 5G 01」です。 Wi-Fi 6まで対応しているしもちろん5GHz帯も使えます。バッテリー容量が大きいこともモバイルルーターにとってはとても大事なスペックです。
2.モバイルルーターに無制限のサービスはあるのか?
データ通信量が実質無制限で利用できるサービスはあります。現在の主要な選択肢は「WiMAX」系のサービスと「楽天モバイル」
WiMAX系:
かつて存在した「3日で15GB」といった短期制限がなくなり、現在は心置きなく大容量通信が楽しめます
楽天モバイル:
実は楽天モバイルの場合プラン名としては「最強プラン」というサービスなのですが、使った分だけ段階的に月額料金が決まってくるという非常に無駄のないプランです。
使用量が20GBを超えると月額料金も3,278円となるのですがそれ以上は何GB使っても上がりません。実質的には無制限というくくりで説明されることが多いのはそのためです。
通常の他社無制限プランの場合と大きく違うのは、あまりギガを使わなかった月についてです。
他社は満額の月額料金となりますが、楽天モバイルの「最強プラン」は3GBまでなら1,078円、20GBまでなら2,178円まで下がります。
とにかく楽天モバイルは徹底的に安さにこだわったプランであることは間違いないです。
3.月額料金はどれくらい?
ポケットWi-Fiを選ぶ上で、月額料金は最も気になる要素の一つです。料金体系はサービスによって様々ですが、月額料金の相場を把握し、本当に安いルーターを見極めるポイントを知ることが重要になります。
月額料金の相場
ポケットWi-Fiの月額料金は、データ容量や契約期間によって大きく変動しますが、一般的な相場は3,000円台から5,000円程度です。特に、データ容量が無制限で使えるWiMAX系のサービスは4,000円台が中心となります。一方で、楽天モバイルのように3,000円台で無制限利用が可能な、コストパフォーマンスに優れたサービスも存在します。
実質月額料金という考え方
表面的な月額料金だけでは見えてこないものがあります。
契約時に大きなキャッシュバックがあったり、いろいろな特典で割引の適用がある場合は総額で考えると思ったよりコスト安であったりするものも出てきます。
また逆に高額な端末代金が契約時に必要であったりするとかえって高くつきます。
そこで「実質月額料金」で比較することが鍵となります。
実質月額料金とは、契約期間中に支払う総額(月額料金、端末代金、事務手数料など)から、キャッシュバックや割引などの特典を差し引いた金額を、利用月数で割ったものです。
つまり例えば2年間契約して使うとして、総額いくら支払うことになるのかを計算してそれを24か月で割れば実質的な月々のコストがわかるという考え方です。
((月額料金 × 契約月数) + 初期費用 + 端末代金 – キャッシュバック・割引額) ÷ 契約月数 = 実質月額料金
主要サービスの2年間利用時における実質料金比較表
実際にいくつかの人気サービスを例に、24ヶ月(2年間)利用した場合の実質月額料金を計算しました。ご自身の選択の参考にしてください。
サービス名 | 月額料金(税込) | 端末代金(税込) | 主なキャンペーン(税込) | 2年間の総支払額(税込)※ | 実質月額料金(税込) |
楽天モバイル | 3,278円 (20GB以上) | 10,820円 | 端末1円 (10,819円割引) | 78,673円 | 約3,278円 |
GMOとくとくBB WiMAX | 4,807円 (初月1,375円) | 27,720円 | 25,000円キャッシュバック | 114,266円 | 約4,761円 |
カシモWiMAX | 4,818円 (初月1,408円) | 27,720円 | 端末代金実質無料 (月770円×24回割引) | 120,414円 | 約5,017円 |
MONSTER MOBILE | 2,948円 (100GBプラン) | 0円 (レンタル) | なし | 74,052円 | 約3,086円 |
2年間の総支払額は「(月額料金の24ヶ月合計) + 初期費用3,300円 + 端末代金 – キャンペーン割引額」で計算しています。キャンペーン内容は時期によって変動する場合があります。
4.契約の要らないモバイルルーターって?(買い切りタイプ)
月々の支払いや契約の縛りから解放されたい方向けに、「契約不要」で使える買い切り(プリペイド式)のモバイルルーターも存在します。
メリットは、月額料金がかからない手軽さです。最初に端末とデータを購入すれば、あとは必要な時にデータを追加購入するだけです。
デメリットは、端末代を含む初期費用が数万円と高額になること、そして1GBあたりのデータ料金が月額契約プランに比べて割高になることです。
日常的に使うには不向きですが、旅行や出張、予備の回線として、特定のニーズには非常に便利な選択肢です。
5.回線の通信性能(通信速度や接続安定性)は各社それぞれ
実際に利用する際の快適さを知るためには、「実測速度」の比較が重要です。
サービス系統 | 平均下り実測速度の目安 | 特徴 |
---|---|---|
WiMAX系 | 80~120Mbps前後 | 5G SAに対応し、非常に高速で安定。高画質動画やオンライン会議もストレスなくこなせる。 |
楽天モバイル | 25~50Mbps前後 | 日常的な利用には十分な速度。WiMAXには劣るが、コストパフォーマンスは抜群。 |
クラウドSIM系 | 15~30Mbps前後 | エリアは広いが速度は控えめ。ウェブ閲覧などが中心のライトユーザー向け。 |
※実測値のデータは”みんなのネット回線速度”を参考にしています。
※実測値は利用環境や時間帯によって大きく変動します。
【最適プラン提案】あなたの使い方に合うモバイルWi-Fiはこれ!
最終フェーズとして、あなたの具体的な「使い方」や「重視するポイント」に合わせて、最適なサービスを提案します。
1.最適なモバイルwifiの選び方
最適なサービスを選ぶには、以下の4つの軸で自分の優先順位を明確にすることが大切です。
料金:初期費用や月々の支払いをどれだけ安くしたいか。「実質料金」で考えましょう。
通信性能:速度や安定性をどれだけ重視するか。高画質動画やオンライン会議が目的なら妥協は禁物です。
データ容量:毎月どれくらい使うか。無制限が必要か、100GB程度で十分かを見極めましょう。
支払い方法:クレジットカード以外の支払い(口座振替)が必要かどうか。
この中で、自分が「これだけは譲れない」というポイントを決めれば、選ぶべきサービスは自ずと絞られてきます。
2.おすすめの安いモバイルwifiは?
上限3,278円の無制限プラン:どれだけ使っても料金が上がりません。
端末1円キャンペーン:初期投資がほぼ不要です。
契約縛りなし:いつでも無料で解約できます。
「最高速度は求めないが、安く無制限で使いたい」というニーズに完璧に応える、まさに「価格最強」のサービスです。
あとは規格の古い端末の利用や楽天モバイル回線エリアの問題からくる通信性能面でのウィークポイントをどこまで割り切れるかでしょうね。ネット上のレビューを見ると結局「通常の利用にはこまらない性能」といえそうです。
3.最強最速なモバイルwifiを選びたい人
高速な5G SA通信:WiMAXは、従来の5Gよりさらに高速・低遅延な通信を実現する「5G SA」に対応しています。
au 5G/4G回線も利用可能:WiMAXの独自回線に加え、auの広大なネットワークも利用できるため、広範囲で安定した高速通信が期待できます。
ドコモ5Gギガホ プレミアは現実的ではない:価格が高すぎます。それとミリ波の5Gが受信できるといってもまだエリア的にそれほど広くないです。今はまだ選ぶべきではないとおもいます。
4.コストと性能のバランスがいいモバイルwifiは?
WiMAXの高速通信:最強最速クラスの通信品質を享受できます。
高額キャッシュバックによる実質料金の安さ:WiMAXを提供する多くのプロバイダの中でも、特に高額なキャッシュバックが魅力です。これにより、実質的な月額負担を大きく下げることができます。
「速度も欲しい、でも価格も抑えたい」という、多くの方が持つであろう最も標準的なニーズに、高いレベルで応えてくれる「総合力最強」のサービスです。
5.クレカ以外で支払えるモバイルwifiは?
多くのプロバイダがクレジットカード払いに限定する中、UQ WIMAXは口座振替に対応しています。
口座振替(銀行口座からの自動引き落とし)を選択できるモバイルルーターも何社かはありますが、開通初月にかかる費用がクレカ払いよりうんと高くなるのが普通です。
まるで口座振替は選ぶな!と言われているかの如くクレカ払いに比べて適用キャンペーンが外されたりして初期費用が高額になりがちなのです。
そんな中UQ WiMAXは比較して安価な初期費用ですみます。また口座振替をえらぶと通常定められた月額料金にプラスして口座振替手数料という名目で200円~300円程度上乗せされるのが普通ですが、UQ WiMAXは口座振替手数料を0円としています。
詳しくは【最新版】ポケットwifiを口座振替・初期費用なしで契約する方法で各社を徹底比較していますので参考にして下さい。
支払い方法に制約がある方でも、WiMAXの高品質な通信を諦める必要はありません。
まとめ:あなたに合うモバイルルーターのお勧め
- モバイルルーターは外出先でPCやタブレットをネットに繋ぐための機器
- 自宅メインならホームルーター、外出先ならモバイルルーターが基本
- スマホのバッテリーやデータ消費を考えるとテザリングの常用は不向き
- 自宅でのメイン回線としては通信の安定性やバッテリー寿命がデメリット
- 料金比較はキャッシュバックなどを含めた「実質料金」で行うのが鉄則
- 端末性能は速度・機能・価格のバランスが取れたWiMAXの「Speed Wi-Fi DOCK 5G 01」が万能
- データ無制限で使えるのは主にWiMAX系と楽天モバイル
- 月額料金の相場は3,000円~5,000円程度
- 買い切りタイプは月額0円だが初期費用とデータ単価が高い
- 速度と安定性を最優先するなら「WiMAX」一択
- とにかく安さを追求するなら「楽天モバイル」が最強
- 速度と価格のバランスを求めるなら「GMOとくとくBB WiMAX」
- 口座振替なら「BIGLOBE WiMAX」がおすすめ
- 自分の使い方(場所・用途・データ量)を明確にすることが最適な一台を見つける近道
- この記事を参考に優先順位を決めれば、あなたに最適なルーターが必ず見つかる
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