楽天ひかりはNTTフレッツ回線を利用した光コラボによるインターネット回線サービスです。
一方、楽天は「楽天ブロードバンド」というプロバイダ事業もやっていますね。
ということは回線面でNTTフレッツを選んでプロバイダを楽天ブロードバンドにするの同じことなのか?
また、例えば同じ光コラボであるドコモ光を回線に選んでプロバイダを楽天ブロードバンドにしても同じなのか?
NTTフレッツもドコモ光もすべてIPv6には対応した回線なので結果同じように思いますが、これが結構違うんです!
楽天ひかりのサイトを見てもよく分からない点解説のシリーズ3回目スタートです。
(1回目 楽天ひかり テレビオプションはあるの?ないの? )
(2回目 楽天ひかり 開通工事が必要な場合不要な場合)
楽天ひかりのIPv6はアルテリアネットワークスのv6を使っている
楽天ひかりが利用するアルテリアネットワークスとは
今や、IPv6 のサービスは多くのプロバイダが提供しているインターネット接続サービスですが、本来IPv6 を自前のネットワークで提供できるプロバイダは限られていて(VNE事業者と呼ばれる特別なプロバイダ)、そのほかのプロバイダはすべてVNEのサービスを使わせてもらっています(もちろんローミング代をはらって)。
楽天ひかりは8社あるVNE事業者の中で一番新しくVNE事業者に昇格したアルテリアネットワークスのローミングを提供しています。
アルテリアネットワークスの印象といえば、プロ向けの通信事業者というイメージです。古くから企業向けにVECTANTブランドで「VPN接続サービス」や「専用線」を提供しています。
特に回線性能に高い信頼性とセキュリティーを要求する企業ユースに強い通信事業者というのが筆者のイメージです。
楽天ひかりはDS-Lite方式によるIPv4 over IPv6を採用している
楽天ひかりがローミング提供するアルテリアネットワークスの一般ユーザー向けIPv6はクロスパスというサービス名称で提供されます。
クロスパスはIPv6 未対応のサイト(IPv4サイト)への接続技術であるIPv4 over IPv6 についてはDS-Lite方式を採用しています。
実はこの点が楽天ひかりの大きな特徴。
例えば回線側をドコモ光にしてプロバイダを楽天ブロードバンドにした場合(楽天ブロードバンドwithドコモ光)にはクロスパスは利用されていません。
つまりIPv6 未対応のサイトについては、IPv6ではつなぐことはできず、旧来のIPv4でPPPoE接続することになります。
ご存知のとおり旧来のIPv4+PPPoEの方式では回線とプロバイダの接点のところで大渋滞を引き起こし夜間などはまともに使えないほど混雑しているのが日本の日常です(詳しくは”インターネット回線の速度遅延”で解説しています。)。
しかしIPv6に対応したわずかなサイトだけが混雑の影響を受けないIPv6+IPoEで繋がったってあまり意味はありません。
モバイル関係で楽天を利用しているからという理由で楽天ブロードバンドを利用するなら回線だけドコモ光にするという中途半端なことをしないで、回線ごとひっくるめて楽天に乗り換えないと意味がないということです。つまり「楽天ひかり」が一択ということ。
ちなみに回線をNTTのフレッツにして楽天ブロードバンドにするというのは(楽天ブロードバンドwithフレッツ)、かつて電話勧誘でさかんに販売されていたものですが、2021年1月現在では新規販売は終了しています。
楽天ひかりのIPv6では対応の専用ルーターをユーザーが準備しないといけない。
IPv6のインターネットを提供している多くの通信事業者では対応する専用のルーターを無料もしくは有料でレンタルしているところが多いのですがあ、楽天ひかりにはこのようなレンタルはありません。
すべて対応する市販のルーターを自身で購入して準備する必要があります。
対応ルーターというのはIPv6対応でDS-Lite方式に対応したものである必要がありますが、近年市販各メーカーで多くの機種が販売されており準備に困ることはありません。
NTTのHGWは楽天ひかりのIPv6ではDS-Liteに対応出来ない!
これは以外な結果。
NTT東西がフレッツサービスや各社の光コラボで提供しているHGW(ホームゲートウエイルーター)自体はIPv6 に対応しているし、2020年4月以降は専用のアプリケーションを当てればDS-Liteにも対応するようになった。(NTT東日本のユースリリース)(NTT西日本のニュースリリース)
もともとNTTのHGWは光電話を契約しているユーザーに提供される(光電話を契約なしで利用するには有料のレンタルで使えるようになる)機器です。
楽天ひかりにはフレッツサービスや他の光コラボのような光電話のオプションがありません。
HGWを使いたい場合はユーザーが自身で直接NTT東西と光電話の契約やHGWのレンタルを申し込まなければなりません(これは可能です)。
このようにNTT東西と直接ユーザーが光電話やHGWのレンタルを契約した場合、ユーザーの手元にはDS-Liteに対応したはずのHGWが届くわけですが、楽天ひかりのユーザーはHGWによるDS-Liteを使うことは出来ません。
理由は単純。
楽天がNTT東西とフレッツジョイント契約を結んでいないからです(2021年1月現在)。
フレッツジョイントというのはプロバイダが提供するDS-LiteやMAP-EなどのIPv4 over IPv6サービスをNTTのHGWで使えるようにするための契約。
もともとNTTのHGWはこれらの技術には非対応なので、プロバイダが準備した専用のアプリケーションをHGWにバンドルしてHGWを対応ルーターに変身させるための契約がフレッツジョイント。
”HGWがDS-Liteに対応しました”というNTT東西のニュースリリースは”フレッツジョイントを介して”という文言が抜けているのでとても誤解を受ける内容となっています。
今後,楽天ひかりでフレッツジョイントをNTTと契約する可能性はもちろんありますが、本稿を執筆中の2021年1月現在ではしていないようです。
現時点ではNTTのHGWがあってもDS-Liteを使うにはやはり別途対応の市販ルーターを準備するしかありません。
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