IPv6インターネットサービスの選び方|失敗しないプロバイダ選定の必須5ポイント【IPv6完全ガイド④】

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IPv6が脚光を浴びるようになって数年が経ちました。従来のIPv4の混雑による速度低下が日常化してから、多くのプロバイダがIPv6インターネットの提供に大きくシフトしています。

ところが各社のWebページを見比べてみると――「速い、速い」のオンパレードや、キャッシュバック等のキャンペーン情報ばかりが目立ち、肝心のサービスの中身や選び方の判断基準はほとんど見えてきません。

この記事では、自分の利用スタイルに合うIPv6インターネットサービスを失敗なく選ぶための5つの必須ポイントを、専門用語をかみ砕きながら徹底解説します。

※IPv6そのものの仕組みからおさらいしたい方は、先にIPv6とは?仕組み・メリット・速くなる理由まで5分でわかるやさしい解説からどうぞ。
IPv6とは?仕組み・メリット・速くなる理由まで5分でわかるやさしい解説【IPv6完全ガイド①】
IPv6とは何か、IPv4との違い、PPPoE/IPoEの仕組み、速くなる本当の理由、メリット・デメリットまでを初心者向けに解説。「IPv6にしたのに速くならない」原因も図解付きでわかります。
 

 

大前提:IPv6サービスは「プロバイダ側の提供サービス」

選び方の本論に入る前に、ひとつ整理しておくべきことがあります。

IPv6インターネットサービスは、NTTフレッツやドコモ光・ソフトバンク光といった回線事業者側ではなく、OCN・@nifty・Biglobeといったプロバイダ側が提供するサービスです。

もっとも、2015年の光コラボ開始以降、プロバイダがNTT東西から回線を卸買いしてセット提供することが増えました(OCN光、So-net光、Biglobe光など)。

この場合は回線とプロバイダが一体なので区別する意味はあまりありません。

ただし、回線とプロバイダを別々に契約している場合は、IPv6に関する問い合わせや調査はすべてプロバイダ側に行う必要があります。

「光回線が遅い」と感じてもNTTに電話してはいけない――問題はプロバイダ側にあるからです。

 

選び方ポイント①:IPoE方式を選ばなければ意味がない

IPv6インターネットサービスといっても、回線とプロバイダの接続方式にはPPPoE方式とIPoE方式の2種類があります。選ぶべきはIPoE方式です。

なぜIPoE方式でなければいけないのか

「IPv4は遅く、IPv6は速い」と説明されることがありますが、これは厳密には誤解です。

IPパケットの転送規格そのものに速度差はありません。速度差を生むのは、その規格が採用する接続方式のほうです。

従来のPPPoE方式は、回線とプロバイダの境界にあるNTE(網終端装置)という共有装置を通過します。この装置が混雑することで、夜間や週末の速度低下が発生します。

一方IPoE方式はNTEを経由せず、混雑とは無縁のGW(ゲートウェイ)を通過します。しかも――

  • PPPoEのNTEが帯域1Gbpsなのに対し、IPoEのGWは帯域10〜100Gbps。もともと10倍以上の余裕
  • 混雑が予想される場合、プロバイダが自由に接続点を増設できる仕組み

従来のPPPoE方式では、混雑の解消はNTT東西の増設依頼に頼るしかなく、プロバイダ側に打つ手はありませんでした。IPoE方式の真価は「プロバイダ自らが速度を改善できる」という点にあるのです。

 

注意:「IPv6対応」と書かれていてもIPoE方式とは限らない

注意が必要なのは、IPv6を提供していてもPPPoE方式しか対応していないプロバイダもあるということ。プランによってはこの罠にハマります。

もしあなたが選ぼうとしているIPv6サービスが「PPPoE方式のみ」だとしたら、IPv4と同じNTEを通過するため、速度改善の効果はほとんど期待できません。

「IPoE方式対応」または「IPoE接続」と明記されているかを必ず確認してください。

 

補足:PPPoE方式の場合、別途IPv6トンネリングアダプタが必要になることもあります。

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選び方ポイント②:IPv4 over IPv6に対応していないと実質的に使えない

次にチェックすべきは「IPv4 over IPv6」に対応しているか。これがないと、世の中のほとんどのサイトが繋がらない・速くならない状態になります。

なぜIPv4 over IPv6が必須なのか

IPv6+IPoEを契約しても、それだけで出来ることは「IPv6対応のサイトに高速で繋げる」ことだけ。Yahoo! JAPANもAmazonも、世の中のほとんどのサイトはまだIPv4のままです。これらにはIPv6+IPoEだけでは繋がりません(IPv6とIPv4は相互に互換性がないため)。

IPv4のサイトを見るために従来のPPPoE設定を併用するのでは、せっかくのIPoE導入が台無し。そこで必要になるのが、IPv4のパケットをIPv6回線で運ぶ仕組み――これが「IPv4 over IPv6」です。

すべてのサイトを高速で見るには、契約サービスがIPv4 over IPv6に対応していることが大前提です。

例外:YouTubeやNetflix、GoogleのトップページなどIPv6対応サイトしか見ない、というユーザーにはIPv4 over IPv6は不要です。ただし、そんな使い方の方は実際にはまずいません。

現在主流の3つの方式

現在提供されているIPv6+IPoEサービスで採用されているIPv4 over IPv6は、技術的に次の3種類があります。

方式 提供元 主な商品名 採用プロバイダ例
MAP-E 株式会社JPIX(旧JPNE)/NTT Com/Biglobe v6プラス/OCNバーチャルコネクト/v6オプション GMOとくとくBB、@nifty、So-net、OCN、Biglobeなど多数
DS-Lite インターネットマルチフィード社/アルテリア社 transix/クロスパス IIJmio、ASAHIネット、BB.exciteコネクト、楽天ひかりなど
4rd/SAM BBIX社 IPv6高速ハイブリッド ソフトバンク光(プロバイダがソフトバンクの場合)

※2023年1月、v6プラスを提供してきた日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE)は日本インターネットエクスチェンジ株式会社と合併し、現在は株式会社JPIX(KDDIグループ)に商号変更しています。

選び方ポイント③:方式によっては”使えなくなる”使い方がある

速度改善のためにIPv6を導入しても、採用しているIPv4 over IPv6の方式によっては、急に使えなくなる機能があります。

該当するのは次のような使い方です。

  1. 自宅Webカメラの映像を外出先のスマホで確認したい
  2. 自宅にWebサーバーを構築して公開したい
  3. NAS(家庭用サーバー)を外出先からアクセスしたい
  4. オンラインゲームでマルチプレーのホスト役をやりたい
  5. VPNサーバーを自宅に立てて外出先からアクセスしたい

これらすべてに共通するのが「外部から自宅のネットワークに入る使い方」――つまりルーターでの「ポート開放」設定が必要になる用途です。

ポート開放はIPv4を前提とした技術で、IPv4 over IPv6の方式によって対応状況が大きく変わります。

DS-Lite方式の場合:ポート開放は完全に不可能

DS-Lite方式(transix・クロスパス)では、ポート開放は一切できません。グローバルIPv4アドレスのNAT変換がプロバイダ側の機器で行われ、ユーザー側ではいじれない仕組みだからです。

「任意のポートでOK」も「特定のポート番号で」も、どちらも不可。ポート開放が必要な使い方をしている方は、DS-Lite方式は避けるべきです。

MAP-E方式の場合:制限付きで可能

MAP-E方式(v6プラス・OCNバーチャルコネクト・v6オプション)では、原理的にはポート開放が可能ですが、IPv4と比較してかなり制限されます。

  • ユーザーごとに使えるポート番号が240個に制限される
  • 240個の番号は契約してみないと分からない(IPv6アドレスから自動算出されるため)
  • 使いたいアプリ・ゲームが指定するポート番号が、自分の240個に含まれていないと利用不可

「任意のポート番号でOK」というアプリ・ゲームなら、240個の中から好きな番号を選んで使えます。しかし「特定の番号でないとダメ」というケースでは運次第。

4rd/SAM方式の場合:IPv4と同じく自由にポート開放可能

ソフトバンクのIPv6高速ハイブリッド(4rd/SAM方式)だけは、IPv4とまったく同じようにポート開放が可能です。グローバルIPv4アドレスを各ユーザーに割り当てる前提の方式だからです。

ソフトバンクが豊富なIPv4アドレスを保有しているからこそ実現できる仕様です。ただしBBユニット(ソフトバンク指定の機器)のレンタルが必須になります。

🔀 あなたの使い方はどれですか?

  • ポート開放が絶対必要 → ソフトバンク光のIPv6高速ハイブリッド一択
  • 使えなくても困らない/普通のWeb閲覧中心 → MAP-E(v6プラス系)またはDS-Lite(transix系)どちらでもOK
  • 楽天経済圏ユーザーで楽天ひかりを検討中 → DS-Liteの制約あり、⑤楽天ひかりの注意点を確認

 

 

選び方ポイント④:専用ルーターの準備が必要かを確認

IPv6インターネットサービスを使うには専用のルーターが必要です。プロバイダによってルーターの扱いが違うので、契約前に確認すべきポイントを整理します。

ルーターの入手方法は3パターン

  1. プロバイダから指定機種のレンタル(多くは有料、月数百円程度)
  2. 市販対応ルーターを自分で購入(バッファロー、NEC、IODATA、エレコム、TP-Linkなどから選択)
  3. NTTのHGW(ホームゲートウェイ)をそのまま利用(条件付き)

選び方ポイント②で説明した通り、市販ルーターはMAP-E対応/DS-Lite対応/4rd-SAM対応で機種が分かれるため、自分の契約サービスに合うものを選ぶ必要があります。

NTTのHGWで済むかは「フレッツジョイント契約」の有無で決まる

NTTのひかり電話契約があり、HGW(PR-500KIなど「PR-」「RT-」で始まる機器)が手元にある方は、フレッツジョイント契約済みのプロバイダなら市販ルーターは不要です。

「フレッツジョイント」とは、プロバイダがIPv4 over IPv6用の専用ソフトウェアをNTTの網内サーバーに預け、HGWに自動でダウンロードさせる契約のこと。これがあるとHGWだけでIPv4 over IPv6が使えるようになります。

プロバイダ フレッツジョイント契約 HGWだけでOK?
GMOとくとくBB あり ○ HGWだけでOK
@nifty あり ○ HGWだけでOK
So-net あり ○ HGWだけでOK
Biglobe あり ○ HGWだけでOK
OCN なし × バーチャルコネクト対応ルーター必須(OCNがレンタル提供)
楽天ひかり なし × DS-Lite対応の市販ルーター必須
ソフトバンク光 独自仕様 × BBユニットのレンタル必須

※フレッツジョイントの状況は変動するため、契約前に各プロバイダ公式に確認してください。

選び方ポイント⑤:総合判断のフローチャート

ここまでの4ポイントを踏まえて、あなたに最適なIPv6プロバイダを判定するフローチャートを整理します。

判定の流れ

Q1:ポート開放が必要な使い方をしますか?(自宅Webカメラ、サーバー公開、ゲームホスト、VPN等)

  • YES → ソフトバンク光のIPv6高速ハイブリッド一択(4rd/SAM方式)でここで判定終了
  • NO → Q2へ

Q2:NTTのひかり電話契約があり、HGWが手元にありますか?

  • YES → Q3へ(HGWを活かす方向で検討)
  • NO → Q4へ(市販ルーター購入前提で検討)

Q3:HGWを活かしたい場合の選択肢

  • フレッツジョイント契約済みのプロバイダ(GMOとくとくBB、@nifty、So-net、Biglobeなど)から、料金・特典で選ぶ
  • 楽天経済圏のメリットを取りたい場合のみ楽天ひかりも選択肢に入るが、HGW+市販ルーターの併用が必須に

Q4:市販ルーター購入前提の場合の選択肢

  • すべてのMAP-E系・DS-Lite系プロバイダが選択肢
  • 料金・キャッシュバック・サポート品質で選ぶ

🔀 結論をまとめると

  • ポート開放必須の方 → ソフトバンク光のIPv6高速ハイブリッド
  • HGWありで普通の使い方 → GMOとくとくBB、@nifty、So-net、Biglobe等のv6プラス系
  • 楽天経済圏優先 → 楽天ひかり(市販ルーター購入の覚悟あり)
  • HGWなし、コスト重視 → MAP-E・DS-Lite問わず料金で選べばOK

まとめ|5つのポイントで失敗しないIPv6選び

最後にこの記事のポイントを整理します。

  • ポイント①:IPoE方式必須――PPPoE方式のIPv6では速度改善の効果は得られない
  • ポイント②:IPv4 over IPv6対応必須――これがないと世の中のほとんどのサイトが速くならない
  • ポイント③:方式選びはポート開放の要否で決まる――DS-Liteは不可、MAP-Eは制限付き、4rd/SAMは自由
  • ポイント④:ルーター準備の要否を契約前に確認――HGWで済むかは「フレッツジョイント契約」次第
  • ポイント⑤:使い方→HGW有無→料金で順に判定――フローチャートで最適解が見える

各社のWebページに踊る「速い」「キャッシュバック●万円」といった謳い文句に惑わされず、自分の使い方に合う方式・条件を冷静に判断すれば、IPv6プロバイダ選びで失敗することはありません。

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読み終えたいま、あなたの気持ちはどれに近いですか?気持ちに合うものを選んで次に進んでみてください。

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