遅いVDSLをどうすればいいのか?

VDSL方式

実はタイトルがちょっと正確ではないです。

冒頭から何なんだ?!と思われるかもしれませんね。

要はこの記事で伝えたい事は以下の内容です。

インターネットが遅くて使ものにならないレベル。 マンションで利用しているけどマンションには光ファイバーが部屋まで来ていないのでVDSL方式を使っている。

このような場合にいつでも快適にインターネットを利用するための解決策をお伝えしようというのが本記事の内容です。

スポンサーリンク

タイトルのどこが正確じゃないのか?というと「遅いVDSL〜」という部分です。

自分でタイトルつけておきながら間違っているというのも変なのですが(間違ってるならそんなタイトル付けなきゃいいわけですから。。。)、インターネットが遅い原因がVDSL方式だからだと思い込んでいる方が多いのも事実です。

またそういう風に説明している記事もこれまたネット上にもあふれています。

VDSL=遅いという図式が勝手に出来上がっちゃってるようです。

ただこれが間違いである事、ならばインターネットがこうも不安定で遅い原因は何なのか? 解決策は? これらをハッキリさせたいと思っています。

VDSLは実は遅くない!

VDSL方式が遅いと勘違いされる理由はおそらく2つです。

まず一つ目が、VDSL方式が光ファイバーではなくメタルケーブル、つまりアナログ用の銅線を使っているという点です。

たしかに伝送速度を比較すると光ファイバーとメタルケーブルでは光ファイバーの方が圧倒的に優れています。

実際にインターネットサービスで提供されている回線サービスも光ファイバーが自部屋まで来ている「光配線方式」だと最大1Gbpsですし、メタルケーブルを使う「VDSL」方式ではauひかりマンションGタイプを除いてすべて最大100Mbpsです。

1Gと100Mでは10倍の開きがありますが、問題なのは100Mではインターネットの利用に支障がでるのか?という点です。

通常インターネットの通信に100Mbpsの速度は必要ありません。30~50Mbpsもあれば十分すぎるくらい十分です。(この点「回線速度が30Mbpsならページ表示に何秒かかるか?快適に使うために必要な回線速度の真実は?」で詳しく説明しています。)

筆者が良く使う例ですが、”近くのコンビニに行くのに1000馬力のフェラーリでなければ時間がかかりすぎてだめなのか?100馬力のホンダフィットじゃ使い物いならないのか?”という話と同じです。

たしかにフェラーリとホンダフィットではフェラーリの方が速い!

でもそこを比べても意味ないのです。

実際はこの100Mbpsも出ていないからインターネットが遅い!

ではインターネットには30Mbps~50Mbpsもあれば十分だとして、なぜ自宅のインターネットがこうも遅くてイライラさせられるのか?

30Mbpsすら出ていないんじゃないか?

となります。

残念ながらその通りだということです。

ここでVDSL=遅い伝説のささやかれる理由の二つ目が関わっていきます。

VDSL方式はマンションの他の住人と回線を共有しているから遅いのか?

VDSL方式はマンションの他の住人と共有(つまり回線を分け合う)ので皆が使うと遅くなる。という話を聞かれたことあると思います。

例えば全戸で100戸の規模のマンションで半分の50世帯がVDSL方式の光回線サービスを契約し利用していたとしましょう。

VDSL方式でもマンションまでは1Gbpsの光ファーバーが来ているわけですから、この1Gbpsを50ユーザーと共有するとなれば1000÷50で1ユーザーあたり20Mbpsしか確保されないのでは?という疑念ですね。

ただ、これも間違っています。

”VDSL方式は他のユーザーと共有になる”というのは正しいのですが、共有になるのは契約者全員ではありません。

例外的に最大で32ユーザーとの共有になる場合もありますが。通常はそのうちの16ユーザーだけです。(マンションミニタイプなら8ユーザーだけ)。

仮に例外的な32ユーザとの共有だとしても、1000÷32で30Mbpsは確保されているわけです。 通常の16ユーザーとの共有なら1000÷16で60Mbps以上確保されることになります。 このあたりの詳細は記事「光回線マンションVDSL方式を徹底理解する!」で説明しています。

なお参考までに一言付け加えれば、各部屋まで1Gbpsの光ファイバーが届く「光配線方式」はもちろん、戸建てのファミリータイプでも1Gbpsの光を最大32ユーザーと共有していることを忘れてはいけません。

Nuro光を除く他の光回線サービスもすべてGE-PONという仕組みをつかいますが、GE-PONは1本の光ファイバーを複数人で共有するための技術です。

光配線方式ならマンションまで1Gのまま来ますがマンション内の共有スペースで4分岐されたあと8分岐されます。 MDF室(主配電盤室)に4分岐スプリッターと8分岐スプリッター両方が設置される場合と8分岐スプリッターは各フロアーの共有スペースに設置される場合があります。

結局のところ光配線方式とVDSL方式との違いはそんなにないことがわかります。というかむしろこの区間ではVDSL方式の方が有利な場合が多いのです。

VDSLの場合はVDSL集合装置で16分岐されたあと各部屋まで伝送速度が最大100Mbpsのメタルケーブルで配線される。各ユーザに確保される速度は1000÷16で60Mbps程度。

他方光配線方式の場合は1Gbpsの光ファイバーが各部屋まで直接配線されるけれど、それはそもそもマンションに来ている1Gを32ユーザーで共有しているわけだから確保されている速度は1000÷32で30Mbps程度だということ。

決定的な両者の違いが出るのは、あなた以外他のユーザーが誰一人回線を使っていない時間帯です。

光配線方式ではマンションに来ている1Gの帯域(=速度)をあなたが独り占めできる状態なのでこの区間の通信速度は1Gbpsとなりますが、VDSL方式ではメタルケーブルの伝送速度が最大で100Mbps止まりなので通信速度は100Mbpsで頭打ちとなる。

この点が唯一「光配線方式」と「VDSL方式」での実際の違いです。ただ何度もいうようにインターネットは30Mbps~50Mbpsもあれば十分なのでこの違いも実は関係ありません。

VDSL方式が遅い原因ではないとすると真因は?

メタルケーブルを使い、他のユーザーとの共有をするVDSL方式であっても30Mbps~60Mbpsでるとなれば速度低下の真の原因はほかにあることになる。

真因はあなたのマンションのずっとずっと先。 回線側とプロバイダが接するポイントでの混雑にあります。(この点「インターネット回線の速度遅延」でかなり詳しく説明していますのでご参考に!)

プロバイダと回線の接点は1Gbpsの帯域があります。つまりここの接点での速度は1Gbpsなのですが、ここには同一県域から集まってくる回線が最低でも2000回線、多いところでは8000回線も接続をかけています。

仮に最低の2000回線としても1000÷2000で0.25Mbps つまり1Mbpsを割ります。250Kbpsです。

こうなると流石につらい。いくらNTTビルとあなたの部屋までが30Mbps~60Mbps確保されているとしても回線がプロバイダに抜けるところで大渋滞でズン!と速度を落としているわけですから。

しかもこうなれば基本あなたにできる手立てはルーターの再起動くらいです。

接点は複数ありますからルーター再起動で別の空いた接点に接続されれば渋滞を避けられて速度が回復します。

ただ、“運がよければ”というだけのことです。他の接点も同様に混雑していたり、再起度かけても同じ接点に接続してしまえばそれまでです。 ユーザーの方で接続先をコントロールすることは不可能です。

 

スポンサーリンク

あなたの回線の速度低下の原因の切り分けと対策

さぁ、いよいよ本稿も本題に突入です。

まず、あなたのインターネットが遅いときに先ほど見た回線とプロバイダの接点での混雑にある場合なのか、VDSLの不具合ないし故障なのか?を切り分けましょう。

実は比較的簡単です。

VDSL区間に不具合があるので遅くなっているとき

接点での混雑の場合、遅延症状が起こる時間帯にある程度法則性というか似た傾向があらわれます。

例えば、午前中や日中は問題ないが夕方から夜間にかけて急に遅くなる。とか、逆に夜間はOKなのに朝9時以降になると夕方までクソ遅い!とか。 

更に曜日の違いで特徴的傾向が出る場合もあります。平日は日中ならOKなのに土日祝になるともう午前中から一日中遅い。

このような症状のときはVDSL区間はまず問題ありません。 速度的に問題ない時間帯が一定時間あるわけですからVDSL区間は正常と判断していいと思います。

逆に時間帯を問わず不定期に急に遅くなったり回復したりを繰り返す場合はVDSL区間の不具合を疑う必要があります。

原因は①VDSLモデム ②VDSLモデムと壁のモジュラージャックをつなぐケーブル(電話ケーブル)の劣化、③モジュラジャック劣化や内部断線 ④マンション構内線、⑤共用スペースのVDSL集合装置 などの多くの要素が関わります。

この部分はNTTなどの回線事業者の故障修理部門が守備範囲としているところなのでそちらの故障受付のコールセンタに連絡し修理を頼みます。 この区間の修理は故意や重大な過失でがない限りユーザーが費用請求させられることはまずありません。

早朝できれば6:00あたりで(接点での混雑とは無縁の時間帯でという意味です)速度測定を何日かしてみて30Mbpsを割り込むような日が何回かあればVDSL区間は本来出ているはずの最低速度も出ていないわけですから、回線事業者の故障受付に連絡しましょう。 伝えるポイントは以下の3つだけでOKです。

  1.  インターネットが遅い。
  2.  時間帯を問わず。
  3.  VDSLモデムの電源OFF/ONをすれば一時的には回復するけどまた再発する

を伝えるのはもちろんですが、この段階で受け付けオペレーターは「接点での混雑原因か?VDSL区間か?どっちだろうか?」と考えます。 の事実を伝えられれれば、「混雑原因ではなさそうだ」と感じます。の申告で「VDSL区間に原因がありそうだ」と思います。

私の経験から感じることなのですが、回線事業者の故障受付はインターネット速度低下の申告に対しては接点での混雑案件との先入観を持って対応しているように思われて仕方ありません。

なので上記3つのポイントを伝えることで点検修理を実現させることが大事です。 そうでないと受付オペレーターにもよりますが回線試験結果が問題さえなければ大抵は「プロバイダに問い合わせて下さい。」と言われておしまいです。

回線側とプロバイダの接点ポイントの混雑が原因で遅くなっているとき

切り分けは先ほど示したとおりですね。時間帯によってはOKな時とダメな時がほぼ似た傾向で繰り返されることが多いです。

この場合は逆に回線事業者の故障窓口やプロバイダのサポート窓口に問い合わせをしても全く無駄に終わります。

ルーターの電源OFF/ ONを促されたり、しばらく時間をおいてから利用しろと言ったり、全く解決にならない対応をされます。

理由は基本的に故障・不具合は発生しておらず「単なる一時的な混雑」に過ぎないから何も対応できないからです。

この種の速度低下が日常化している場合は利用しているプロバイダのサービスの変更を検討します。

プロバイダを変えるのではありません!

プロバイダと契約しているサービスプラン等を見直すのです。

端的に言えば、IPv6インターネットサービスのオプションを追加するか、IPv6インターネットプランに変更するかです。

IPv6インターネットサービスはそもそも提供していないプロバイダもあり、提供しているとしてもプラン変更が必要な場合や単なるオプションの追加として出来る場合など様々です。

今契約しているプロバイダにIPv6インターネットサービスの提供がなければ、ここではじめてプロバイダの変更を考える必要が出てきます。ただここ数年での接点ポイントでの混雑の問題に頭を悩ませている各プロバイダは一気にIPv6インターネットサービスの提供を始めており大手プロバイダであればほとんど提供があります。

IPv6インターネットサービスは回線側とプロバイダの接点の帯域が10Gbps~100Gbpsあります。

そのうえ従来のIPv4インターネットサービスの利用者の方がまだまだ多いのでIPv6インターネットサービスは混雑しておらず速度低下に即効果があります。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました