VDSLマンションで光回線本来の速度を取戻すにはどれが正解か?

VDSL方式

光回線といっても光ファイバーが来ているのはマンションの共有部分までだけで、マンション内では自室までメタル線しか来ていないVDSL方式を利用している方も多いと思います。

最近ネット速度がもっさりしていて時には全然使い物にならんくらい遅くなる瞬間もある!

「これ光回線サービスだったよなぁ。。。」と少々いやになっている人に光回線本来の速度を取戻すにはどの方法をとれば正解なのかを紹介してゆきたいと思います。

本稿で検証する方法は次の3つです。

  1. 光配線方式へ切り替える
  2. 他社のVDSLサービスへの乗換え
  3. IPv6サービスを利用
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光配線方式への切替は正直お勧めできない!

理由は2つあります。

光配線への切替はハードルが高すぎる!

まず何といっても非常にハードルが高い。 不可能ではないにせよ非常に労力がかかります。 労力がかかる上に結局だめだったというケースが普通に多いのが理由の第一番目。

ハードルの中身というのは、マンションオーナーや管理会社だけでなく、他の住人や自治会の承認を得なければ実現不可な場合が多いという点です。

あなたのマンションがいまだVDSL方式である理由はマンションの設備として光ケーブルを各部屋に敷設する配管などがないか、あってもすでにメタル線でいっぱいに詰まっていて新たに光ファーバーを通せないからです。

このようなマンションで光配線方式を採用するにはまず配管を作らなければなりませんが、これにはかなりの費用がかかります。

この費用をマンションのオーナーが持ってくれるならいいのですが、そうでない場合住人全員で負担するしかないわけです。

しかしあなた以外のすべての住人がVDSLでは不満でお金を出してでも光配線方式にしたい!と考えているというのはありえませんのでなかなか承認をえることは出来ないと思います。

逆に言えば、あなたのマンションにすでに光配線が可能な配管等がある、もしくは今ある配管にまだまだ光ファーバーを通す余裕があるというのなら、ハードルがグッと下がります。

しかしこのような場合でも次に回線事業者(NTTなど)が示す提供基準をみたしていなければ光配線化は実現しません。

光配線へ変更しても速度改善は期待できない。

理由の二つ目は、VDSL方式を光配線方式に切替たからといって速度的に有利になるわけではないからです。

VDSL方式は速度の速い光ファイバーではなく、アナログ電話用のメタルケーブルを使うので速度が遅い! とか、VDSL方式はマンションの住人みんなで回線を共有しているので遅い! などと言われることがあります。

そんな事を平気で書いているWeb上の記事も多く見かけますが、正しくありません。VDSL方式というものを全く理解出来ていない意見です。

この点についてはこのブログでもかなり詳細に説明しているのでぜひそちらを参考にして頂きたいと思います。

いずれにしても、非常にハードルが高くてその割には効果(速度面で)がほとんど期待できないことだけはきちんと認識しておく必要があります。

光配線方式への切替は選択肢から真っ先に外さなければならないということです。

NURO光ならイケるんじゃない?という人へ

Nuro光はマンションタイプでもすべて光配線方式での提供でありあなたの嫌いなVDSL方式はNuro光にはありません。

マンションでNuro光を使うには2つの方法があります。

  1. Nuro光forマンション
  2. Nuro光マンションミニ

1.のNuro光forマンションというのはNTT系でいうところの光配線方式のマンションタイプと同じ物です。

各部屋までの光ファイバー用の配管などの設備が必要となる点もNTT系と全く同じです。

NTT系で光配線方式に切り替えるのと同じくハードルが高く実現困難です。 実際こちらで申し込めるマンションはほとんどありません。

Nuro光をマンションで使う場合には、実際は次のNuro光マンションミニという選択肢になります。

2.のNuro光マンションミニというのは、実はマンションタイプというもののまったく戸建てタイプと同じものです。

つまり戸建てタイプと同じように電柱からあなたの部屋に光ファイバーを引き込むスタイルです。

ただしNuro光の場合「申し込む」=「開通できる」とはならない点が一番問題です。

最終的に開通出来ないなら「申し込めない」ようにしてもらいたいところですが、Nuro光の場合「申し込み」は提供エリアであれば正式に「受理され」てしまい、後日開通工事の一部(「宅内工事」という)まで実際に行われてしまいます。

完全開通には電柱から光ファーバーを引き込む「屋外工事」という第二弾の工事が必要なわけですが、この段階で「引き込み不可能」というケースが発生するのがNuro光マンションミニタイプです。

しかも第一弾の「宅内工事」から第二弾の「屋外工事」まで最大半年くらい待たされるケースもある模様で、待った挙句に「マンション建物の構造上、開通できませんでした。」といわれる事があります。

NTT系やAu光マンションなら申し込み時に実際に開通可能かどうかが調査されたうえで申し込みが受理されるのでこのようなことはありません。

しかしNuro光は回線速度が下り理論値最大2Gbpsとなりますので、無事開通できるのであれば、Nuro光マンションミニへの乗換えは正解になります。

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他社のVDSLへの乗換えはAu光マンションタイプG以外は意味がない!

今契約している回線を解約して他社のVDSL方式への乗換えを検討される方も多いと思います。

ただし、VDSL方式の回線性能というのはマンションのメタルケーブル配線の性能によるところがほとんどです。

他社のVDSLサービスに乗換えて変わるところというのは、月々の利用料金以外では①マンションまでの光ケーブル区間②VDSL集合装置と宅内VDSLモデムだけです。

マンションまでのケーブル区間も実はNTTの光ファイバーという現実!

ほとんどの方がNTT系(NTT東西が提供するフレッツサービスや各社が提供する光コラボ回線)だと思いますが、他社に乗り変えたとしても、マンションまでの光ケーブルはやはりNTTが敷設した光ケーブル(ダークファイバー)を借りています。

ですのでここが変わっても実質的には同じで大差ありません。

ただこの点について、Au光マンションタイプがNTT系より速いといわれる事があります。

NTT系でも、Au光マンションタイプでもVDSL方式は他のユーザーと回線を共有している点では同じです。

Au光マンションタイプがNTT系より速いと言っている人達の根拠は、Au光マンションタイプはNTT系と比べてユーザー数が少ないからというもののようです。

しかし契約者の多いNTT系でも共有人数は最大で32ユーザーですがこれはまれで通常は16ユーザーとの共有に過ぎません。実際は10ユーザー前後の共有というのが実情です。

他方でユーザー数の少ないと言われるAu光マンションでも最低限8ユーザー以上でしか提供されないわけですから、10と8でこれもそう大差ありません。

契約数が多い少ないという一面から見ただけのイメージで言ってのいるに過ぎない話しで根拠にはなっていません。

実質的にはこの点でも速度の差はほとんどないといってもいいと思います。

因みに、Au光マンションタイプにはマンションギガというのがありまあすが、あれは光配線方式でVDSLではありません。

集合装置や宅内モデムが変わっても技術的に同じであれば何も変化は起きない!

他社のVDSLに乗り換えれば、共用部分に置かれるVDSL集合装置とその対抗装置となる宅内VDSLモデムが変わります。

しかし、現在各社が提供しているVDSLはVDSL2 G993.2という統一規格が採用されており集合装置、宅内モデムともNECか住友製の製造品という点でも各社変わりがありません。

先にも説明したようにVDSL回線の性能・品質はマンション設備である構内メタル線や、MDF(主配電盤)、IDF(中継配電盤)といった配電盤の状態でほぼ決定されるので、集合装置や宅内モデムが変わったとしても何も変化は起こりません。

VDSL機器関連でちょっと余談ですが、各社からレンタル提供されるモデムでは物足りないという事で市販の高性能VDSLモデムを購入しては?との思いもわからないではありませんがこれは絶対避けるべきです。

宅内モデムだけ購入しても、対抗装置(つまり集合装置)まで変えないと意味がありませんし、通常は宅内モデムを変えると全く動作しなくなります。

仮に集合装置まで購入(数十万円しますが)したとしてもそれを設置することができません。ONU(集合装置の前方にあって外からの光回線を終端する装置)には回線事業者の集合装置が繋がれているからです。

他社乗り換えではAu光マンションタイプGが唯一の正解

もしあなたのマンションでAu光マンションタイプGが提供されているのなら、これを使えば通信速度的には確実に向上が期待できます。

タイプGは通常のVDSLと同じくメタル線を使ったタイプで光配線方式ではありませんが、VDSL方式とは異なる最新のGーfastというDSL技術を使います。

G-fastでは下り最大664Mbps、上り最大で166MbpsということでVDSL方式が上下ともに最大100Mbpsであったのと比べ格段に高速になります。

唯一のネックはまだまだ提供可能エリアと提供可能マンションが少ないことです。

もしあなたの住んでいるマンションがこれをクリアできるのならこれ一択だと思います。

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IPv6サービスの導入が実は一番現実的で効果あり

最後は、回線を変えるのではなくプロバイダから提供を受けているサービスを変えるというもの。

プロバイダを変えるのではありません。

プロバイダから提供を受けているIPv4のPPPoE方式のインターネット接続サービス(通常はこれをみんな提供されている)、をIPv6のIPoE方式のインターネット接続サービスに変更もしくはこれを追加する方法。

実は、回線速度が使い物にならないほど低下している原因は回線にはなくて、回線がプロバイダと接続されるポイント(POIといいます)にあります。

回線側とプロバイダ側を接続する方法にはPPPoEという方式とIPoEという方式があります。

PPPoE方式では1ギガの接続点に2000~8000程度のユーザーの回線が繋がれています。

このためこれらのユーザーが一斉に通信すると簡単にここで大渋滞が起こります。

2000~8000回線ですから、仮におよそ半分にあたる4000回線のユーザーが同時刻に通信しはじめると1ギガ÷4000回線で1回線あたり250kbps程度しか帯域を使えないことになります。 

つまり1メガも速度出ていないってこと。

さすがにこれはキツイ。インターネットを快適に利用するには30Mbps~50Mbpsは欲しいところですがこれだとまともに使えません。

しかしこれが日本のインターネットでは日常的に現実に起こっているのです。

IPoE方式ではこの接続点が10ギガ~100ギガとかなり広くなります。

PPPoE方式ではなくIPoE方式でプロバイダと繋がることでかなりの速度改善が見込める事になります。

IPoE方式による接続はIPv6サービスでのみ使える接続方式です。

IPv6が高速インターネットといわれる理由なのですが、現在ではプロバイダ各社のほとんどがこのIPv6インターネットサービスの提供をするようになりました。

通常プランと料金も同じプロバイダもあればIPv6インターネットサービスはオプションとして追加料金を取るところもあります。

プロバイダのプラン変更(またはオプション追加)だけで速度改善が期待できるこのアプローチはVDSL方式を利用しているか、光配線方式を利用しているかを問わず等しく恩恵を受けることが出来ます。

現在のところ一番効果があり一番実現に近道なアプローチで、これこそがVDSLが光本来の速度を取戻す唯一の選択肢ではないかと考えています。

各プロバイダの提供するIPv6+IPoEサービスでは細部でいろいろ違う部分もあります。

IPv6+IPoEサービスの選び方について詳しく解説した記事をアップしていますので是非こちらもご覧ください。”IPv6インターネットサービスの選び方徹底解説”

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