vdslがついにサービス終了するという噂はほんとか?
ここにきて急にVDSLがいよいよサービス提供が終了されるのではないか?終了すればユーザーはどうすればいいのか?と騒がれ始めています。
何故急に今になってVDSLの終了が騒がれ始めたのか?
それはNTT東西が相次いでなにやら意味深な発表をしたからです。
その発表というのが2023年8月にNTT東日本の”「光配線方式」と「VDSL/LAN配線方式」が併設されている建物における「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN配線方式」の新規申込受付の終了について“というものと
NTT西日本の「集合住宅等における光回線設備の切替工事について」というものです。
NTT東西が相次いでVDSL方式の終焉に関係するような2つの発表をしたことでユーザーの間では冒頭のようにVDSLは一体いつまで使えるのか?といった事が騒がれ始めました。
今回はこれらNTT東西の発表内容をもとにこれからVDSLがどうなってゆくか、それに対してどう備えればいいかについて考えてゆきたいと思います。
今後のNTT東西の取り扱いはNTT東日本とNTT日本で若干違いはあるものの基本的には「vdsl廃止」「vdslサービス終了」に向いています。
NTT東西がVDSLを終了させたがっています。これは間違いないです。VDSLをすべて光配線方式み切り換えたがっています。
その方が設備の運営上・コスト面でも技術面で大きくアドバンテージがあるし、また光回線の販売面でもどうもVDSL方式はいまいち人気がなく光配線方式の方が圧倒的に訴求力があるとのこと。(この面については「光回線マンションVDSL方式を徹底理解する!」でその理由を詳しく書いています。)
これらについて個別に見てゆきましょう。
vdsl 廃止に関するNTT東日本の対応は?
終了は新規受付のみ
NTT東日本では前掲のお知らせの中で明確に「終了」の文言が使われています。
しかしこれはのVDSLサービスを現在利用している既存のユーザーには全く影響のない内容です。
終了するのは「新規申込受付」だからです。
NTT東日本はすでに2020年に「将来的にはマンションでの利用タイプはVDSLから光配線方式切替てゆきたい」旨発表しておりました。
そして一定期間内でVDSL方式から光配線方式への切替を希望してくれたユーザーには切替工事費用はすべてNTT東日本が負担するとしてこれを後押ししていました。
その後3年間でVDSLから光配線へと切り替えてくれるユーザーも徐々に増えました。
ただそのマンションにVDSLのユーザーが1名でも残っていればいればVDSL設備の完全撤去はできません(VDSL集合装置1台設置の中には最大16ユーザーがいます。16ユーザーがゼロにならないとこの装置を撤去することはできません)。
またせっかくほとんどのユーザーが光配線方式に替わってくれたとしても、あらたにVDSL方式で申し込みを受け付けているとまた加入者が入ってくることになり、いつまで経ってもVDSL集合装置をはじめVDSL設備の巻き取撤去なんて永遠に実現できないこととなります。
そこでついにNTT東日本は光配線方式とVDSL方式の両方が設備されているマンションに限りあらたにフレッツサービスを申し込む時は「光配線方式」一択とすべく、VDSL方式の新規受付を2023年10月23日で終了したのです。
光配線方式が併設されていないマンションでは新規申し込み自体まだ受付けられます。
「光配線方式の装置(光スプリッタ)」と「VDSL/LAN配線方式の集合装置」が併設されている建物において、2023年10月23日(月)をもって「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN配線方式」の新規の申込受付を終了※2し、光配線方式での新規申込受付といたします。
2023年8月3日
東日本電信電話株式会社
既存のVDSLユーザーについては何も言及なし
実は既存のVDSLユーザーの行く末に関してNTTではまだ何もいっていないのです。新規受付のみが終了しただけで今利用しているVDSLサービスが終了するか?またそれはいつか?についてはNTTは全く言及しておりません。
というか言及できないのです。
光配線方式が導入併設されているマンションでも、すべてのユーザを光配線方式に切替ることが困難なマンションが沢山あるからです。
どういうことか?
光配線方式導入済みマンションでもすべてのVDSLユーザーを光配線方式に移行できない場合もある!
現在光配線方式を導入しているマンションはユーザー宅にむけて既存のメタルケーブルではなく新たに光ファイバーケーブルも通線できる配管等があることになりますが、実際はこの配管が一ぱいでこれ以上新たな光ケーブルを通せない状況であるとか、配管自体が古くて中にゴミ等が詰まっていて光ケーブルの送り込み通線が出来ない、といった状況にあることが現実には結構な割合であります。
こういった場合新たな通線ルートを確保するためマンション側で設備改修を実施しなければ結局光配線方式での利用も無理になります。
この設備改修にかかる費用はNTTは負担しませんのでマンションオーナーやマンション管理会社、マンション管理組合がOKして費用まで出してもらわなければなりません。
このようにユーザー自身ではどうすることも出来ない壁があり、NTTがいかにVDSLを廃止して光配線方式に切り替えたいと目論んでも一気にVDSLサービスの終了まで持って行けないのです(マンションのオーナーや管理会社の中には相当の費用をだしてまでこのような改修工事をやることが理解出来ない場合が多いのが実情です)。
そう考えるとNTTがVDSLのサービス提供を完全に終了するとの決定には解決の難しい多くの問題があるので、ずっと先の事だと考えていいと思います。
ただし先にも言ったようにNTTは将来VDSLを廃止すべく考えていることは間違いありません。
光配線方式がまだ導入されていないマンションの場合はさらに深刻かも
既に光配線方式が導入されているマンションであっても、今後この光配線に切替を希望するユーザーの全てがすんなり切替実現できない場合があることは、今見た通りです。
まだ光配線方式の導入すらないマンション(かなりの数ある)、は光配線方式を導入することが先決になります。引込点から分岐SP(スプリッター)を介して各部屋にむけて光ケーブルを通線するためのルートの確保(通常は専用配管等の敷設)をまず準備しなければなりません。
もちろんNTTがこの費用を負担することは(今のところ)一切ありません。マンションオーナーや管理会社、管理組合の決定と費用でマンション側が先に設備を整えておくことが先決になります。
当社の光配線方式設備が設置されていない場合には、オーナー様、管理会社様等の承諾を得た上で光配線方式の設備を構築します。その後に、VDSL方式から光配線方式への切り替えとなるため時間を要する場合があります。また建物の配管設備等の状況によっては、当社光配線方式の設備が構築できない場合があります。予めご了承下さいますようお願いします。 フレッツ光マンションタイプ(VDSL方式)からフレッツ光マンションタイプ(光配線方式)への切替えについて
結論としてNTT東日本エリアにおいては、NTTの発表どおり、光配線方式も併設されているマンションに限りVDSL方式による新規申し込みは出来なくなり光配線方式一択になる。既存のVDSLユーザーはそのままVDSL方式を使い続けることが可能。ということになります。
vdsl 廃止に関するNTT西日本の対応は?
これに対してNTT西日本は基本NTT東日本と同じですが若干移行への速度が遅めという印象です。
ようやくVDSL方式のマンションタイプの新規申し込み受付終了を発表した段階です。(2025年1月現在)
一部の建物における「VDSL/LAN方式」の新規お申し込み受付終了について
「ひかり配線方式の装置(光スプリッタ)」と「VDSL/LAN方式の集合装置」が併設されている建物の場合および「VDSL/LAN方式の集合装置」が単独設置されている建物の中でサービスのご利用者さまがいない場合について、2025年1月31日をもって、「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN方式」などの新規のお申し込み受付※7,8,9を終了いたします。
- ※7 光アクセスサービスをご希望の場合は、「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ ひかり配線方式」または「フレッツ 光ネクスト ファミリータイプ」などにて提供いたします(ただし、建物の状況などによりサービスをご利用いただけない場合がございます)。
- ※8 新規お申し込み受付終了までにお申し込みされた「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN方式」などの開通期限は、2025年6月30日までとさせていただきます。開通期限は、建物の状況などにより延長する場合があります。また、新たに移転でご利用される場合も含みます。
- ※9 「VDSL/LAN方式」にて提供する「ひかり電話ネクスト」(IP電話サービス)および光コラボレーションモデルにより提供される光アクセスサービスも対象となります。
「VDSL/LAN方式」と「ひかり配線方式」が併設されている一部の建物における「ひかり配線方式」への移行のご案内について
そして東日本と同じように光配線方式がすでに併設済みのマンションの人がVDSL方式から光配線方式へ移行(NTT的には回線の品目変更という)するにはその費用をNTT西日本が負担すると言っています。
「ひかり配線方式」への移行に伴う工事について※3,4
2025年1月1日以降のお申し込みから工事費は無料※5,6とさせていただきます。
ただし、お客さまの都合により、申し込み後1年以内に移行が完了しない場合は対象外となります。
上記リンク先と同じ
NTT西日本はようやくNTT東日本が2020年に打ち出した「切替工事はNTTが負担するからVDSL使っている人は出来るだけ光配線方式に切り替えてね」という内容と同じお知らせを2024年4月1日に発表した段階です。「集合住宅等における光回線設備の切替工事について」(更新はされています)
ただこれではNTT東日本が経験したように、費用をNTTが負担しながら徐々にユーザーをVDSLから光配線に引っ越しさせても新たにVDSL方式で申し込まれてくるとVDSL設備を巻き取り撤去することは出来ないわけです。
NTT西日本の場合NTT東日本よりもさらにVDSLサービスの終了は先の話になってくるはずです。
vdsl方式 見分け方
これまでサービスの終了が心配されているVDSLについて話を進めてきましたが、読者の中にはご自分が契約しているタイプが、今回のテーマであるVDSL方式なのかどうかがはっきり分からないという方もおられるでしょう。
マンションで利用する場合でもいくつか方式があるので説明を加えておきましょう。
まず今回本稿で説明している対象回線については以下のとおりです。
NTT東日本の場合
- VDSL方式によるマンションタイプ
- LAN配線方式によるマンションタイプ
NTT西日本の場合
- VDSLによるマンションタイプの一部ユーザ(一部とは光配線方式が併設されているマンションのユーザーという意味)
- LAN配線方式によるマンションタイプ
VDSLタイプ
VDSL方式であればユーザー宅内にVDSLモデムが設置されています。(もしGE-PON ONUという機器が設置されている場合は光配線方式なので違います)。
vdsl サービス 終了にどう対応したらいいのか?
VDSL方式から光配線方式への切替
これまで説明してきたようにVDSL方式のマンションタイプを契約中であれば光配線方式への切替への検討すべきでしょう。
もちろんお住まいのマンションに光配線方式も併設されていない場合は無理とまではいわないけど無茶苦茶ハードルが高いので今動くのは現実的ではありません。
飽くまで光配線方式も併設されているマンションにお住まいの方に限ったはなしです。
特にNTT西日本の場合現在切替による工事無料のキャンペーンが発表された直後といっていいので今がチャンスだと思います。
工事費無料適用期間 2024.4.1~2025.3.31(延長されることがあります)
光配線方式への変更して何がどう変わるのか?
利用料金は?
光配線方式の方が若干高くなります。
提供事業者 | 配線方式 | 主なプラン名 | 月額料金(税込)目安 |
---|---|---|---|
NTT東日本 | VDSL | マンション・ハイスピードタイプ | 3,135円~4,235円 |
NTT東日本 | 光配線 | マンション・ギガラインタイプ | 3,355円~4,455円 |
NTT東日本 | 光配線 | ギガマンション・スマートタイプ | 3,685円~4,785円 |
NTT西日本 | VDSL | フレッツ 光ネクスト マンション・ハイスピードタイプ | 3,300円~4,400円 |
NTT西日本 | 光配線 | フレッツ 光ネクスト マンション・スーパーハイスピードタイプ 隼 | 3,520円~4,950円 |
接続の安定性と通信速度はどうなる?
接続安定性
VDSL方式はマンション内ではメタル線を電気信号が走ります。ですのでADSLなどと同じで周囲からのノイズの影響を受けて通信が不安定になるという弱点があります。
例えばマンションの共用部の廊下に設置の蛍光灯のグローが寿命でが点いたり消えたりしてパカパカしているような場合、結構な高周波ノイズが出ています。この影響をうけてその近くを通過しているメタルケーブル内を走っているVDSL信号は不安定になります。
まず最初にリンクアップ速度(通信速度)をグンと落とし接続を維持しようとしますがそれでもノイズの影響の方が強ければリンクダウン(通信断)を来します。
また敷設されてからかなり経年したケーブルも多くケーブルの劣化により通信の不安定もでます。
光配線方式の場合はこのようなことはありません。マンション内を走っているのは光ケーブル内の光の点滅だけです。光ケーブル自体が物理できに押しつぶされるとか極端に折り曲げられるなどがない限り外部からの影響は受けないのです。
敷設自体メタルケーブルよりずっと新しいものが多くその面でも通信品質は安定しています。
接続の安定性がVDSLと光配線方式では断然違います。
通信速度
ご存知の通りVDSL方式の理論値は最大100Mbpsなのに対し光配線方式では1Gbpsと10倍の帯域があります。
ただこれはそのままインターネットでの通信速度が10倍速くなるということを意味するのではありません。
VDSLでもマンションまでは1Gbpsで来ています。それをVDSL集合装置1台あたり16ユーザーと分け合います。集合装置がカスケード(直列)に2台繋がれるケースもありその場合は最大32ユーザで分け合うことになります。
他方、光配線方式でも1Gbpsの帯域を最大32ユーザーに分岐され各部屋まで惹かれるわけですからVDSL方式と同じです。
「分け合う」とは、どういう意味か?
たとえばいずれもMAXの32ユーザーがいるとしてそれらが同時にインターネットを利用している場合1Gbps÷32で1ユーザーあたり30Mbps強の速度になるのは光配線方式でもVDSL方式でも同じなのです。
ところが他のユーザがいないとか、いても使っていない瞬間があるという場合だと、その瞬間は光配線の場合は1Gbpsをほぼ独占できるのに対して、VDSL方式の場合はメタル線区間があるのでそこが影響して100Mbpsが上限になるという意味です。
通常のインターネットは30Mbpsもあれば十分なのでVDSLで困ることはあまずありません。実際はマンション内ではだれか彼かは常に利用しているので1Gbps対100Mbpsのように顕著な差はありません。
ipv6などへの対応状況
もちろん各プロバイダ提供のIPv6インターネットサービスもVDSL同様そのまま利用可能です。アクセス回線の一部が光ファイバーではなく銅線(メタル)だというだけの違いなので、光配線方式でもそのままIPv6+IPoEが使えます。 特に設定の変更やプロバイダへの申告といった面倒なことはありません。
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